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一夜
「とりあえず何か食べよう」
二人でふらりと入った居酒屋。
週末とあって、店内は程よく混んでいる。
案内された席は、カウンターの左端の二席。
一番端に座る女と、隣に座る男。
「久しぶりだね」
ビールの入ったグラスと杏子酒の入ったグラスをかたむける。
運ばれてくるお料理を満面の笑みでパクパク食べる女。
そんな女の口元を満足げに眺めてる男。
お腹いっぱい食べ終えたところで、少しの沈黙。
女の右耳に顔を寄せて、そっと語りかける男。
「洗面所で下着、外しておいで」
男の 「大丈夫だよ」 の一言に微笑み、取り戻し立ち上がる女。
「待ってて」
「さぁ、どうかな?いっぱいは待てないかも」
「もう…」
強気の笑みで恨めしそうに見て歩き出そうとする女に、
「待って」 男、再び女に耳打ち。
「個室には入っていいけど、下着を外すだけだからね」
一瞬、何のことかわからない女。でも、すぐに理解して、黙って頷いて洗面所に向かう。
戸惑いながらも急いで下着を外して、洗面所を出る女。
カウンター席の奥に男の姿を確認して、早く傍に行こうとするが、
スカートの裾も胸元も気になってぎこちなく歩き席へ戻る。
カウンターは皿が片付けられ、半分以上残ってる杏子酒とライチのシャーベット。
男の前には、なみなみとビールの注がれたグラス。
何事もなかったように振る舞う男。
つられて女は、ライチのシャーベット、喜びながら食べ終える。
男のグラスのビールも残り少ない。
「そろそろ出ようか…」
伝票を手にする男
席を立ち上がった女、洗面所を出た時の戸惑いと恥ずかしさが再び湧いてくる。
男と女は夜の街を歩き出す……
店を出ると、夜風が好い感じでなびいていた。
女の頬をかすめる夜風は、足元にも吹いていた。
前から向かってくる人の視線が気になり、下着を外した胸元を隠すように、
女は俯いて、男の横を歩いた。
俯いて歩く女に、
「ちゃんと背筋伸ばして、前向いて歩かなくちゃね」
男は、女の少し困った顔を楽しみながら見てる。
女は背筋をピンと伸ばし、前を見て歩くがまたすぐに顔を俯き加減に…
「ほら、また顔が下を向いてるよ」
「だって……」
言ったきり言葉が続かない女。
男の右手は、心細げな声を出す女の左手を掴んだ。
女の曇った顔は瞬間に笑みが広がった。
「だって…なに?」
「だってね、スカートの裾も胸も気になるの…」
女ははにかみながら、答えた。
「気になっても下向いちゃダメ。お散歩、楽しむんでしょ」
掴まれた左手を握り返し、大きく頷く女。
人通りの少なくなった通り。シャッターの下りた店の前。
「確認しなくちゃ…ね」
シャッターを背に立った女の胸に服の上からそっと触れる男。
体を固くしてうつむく女。
「顔、上げて。ちゃんと見てなくちゃ」
女の胸の突起を摘む男の指。
だんだん固くなっていく突起。
「これじゃぁ、やらしい女だってこと人にわかっちゃうね」
意地悪を言う男。
いやいやとがぶりを振る女。
男の手は、女の脇から腰、尻と徐々に撫で下ろしスカートをたくし上げた。
女の尻を優しく撫で、
「こっちもちゃんと言う通りにしてるね」
囁きながら、右手は前の方へ…
「足、開いて」
「ダメ。手が汚れちゃう」
「いいから、開いて」
言葉に逆らえず、足を開く女。
指は茂みをまさぐり、奥の方へ……
一番敏感な部分に指が触れた瞬間、
「あっ…」 と声を漏らす女。
「声、出したら人に聴かれちゃうよ」
唇をきゅっと噛み締め堪える女。
指は更に奥へ……
女の蜜口を確かめて、スッと手を離す男。
「濡れてたよ…」
慌てて男の右手を掴まえて汚れた指先を舐め取る女。
「綺麗になった?」
にこにこ顔でコクリと頷く女。
コンビニで買い物する男と女。
なにやら物色している男。
レジに差し出したものは、飲み物と包帯とハサミ。
二人、顔を合わせてクスリと笑う。
「今宵、貴女の宿は?」
「貴方の足元」
街外れのホテルへ消えていく男と女。
ホテルに入ると、夜も遅いせいか、ロビーには誰もいなかった。
エレベーターの前で待ってるように女に伝えると、男はフロントへキーを取りに向かった。
女はエレベーターの前に立ち、グルリと周りを見渡した。
建ってまだ数年の比較的新しいホテルで、内装もかなり凝っている。
エレベーターの階数表示を探すが、見当たらない。
そうこうしているうちに、男がエレベーターの前まで来た。
エレベーターのボタンを押すと、すぐ前のドアが開いた。
男に背中を軽く押され、中に乗り込む。男は「15」のボタンを押す。
ドアが閉まり、静かにエレベーターは上昇し始めた。
女の左手を握り、女がバックと一緒に持ってきた紙袋を見ながら、
「着替え、持ってきた?」
男の手を少し強く握り返して頷く女。
ポーンと柔らかな音と同時にエレベーターのドアが開いた。
エレベーターを下りて右に曲がると、左右に通路が長く広がってた。
更に右に曲がり、男は1524号室の前で足を止め、ノブにキーを差し込んだ。
部屋のドアが開けられ、手招きされて中に一歩、二歩と入る女。
部屋は奥の方のライトがついているのか、薄っすら明るかった。
ドアのオートロックのカチャという小さな音とともに、男は女を後ろから抱きすくめた。
男の左手の甲に、空いている左手を重ねて、
「会いたかった。やっと会えた」
「酷いことされるかもしれないのに・・?」
「うん」
女を自分の方へ向きなおさせる男。
「ちゃんと顔、見せて」
はにかみながら顔を上げる女。
「いっぱい汚しちゃうよ。いいの?」
「うん」
「『うん』だけ?」
顔を左右に振る女。
「どうしたの?なに?」
消えそうな小さな声で 「いっぱい汚して下さい…」 と答える女。
「うん」 と頷いて、再び女を抱き締める男。
部屋の奥へ導かれ、バックと紙袋、コンビニで買ってきたものを置く女。
着ていたジャケットからタバコと携帯を取り出し、ジャケットをクローゼットに仕舞う男。
セミダブルのベットが二つのツインルーム。
窓際には二つソファとテーブル。
「喉、乾いちゃったね」
コンビニの袋を持ってきて、テーブルの上に置き、ソファに座る男。
「うんうん」 と言いながら、女もソファに座ると、
「そこが居場所?こっちにおいで」
と小さく手招き。
ソファの向きを少しずらす男。
女が男の前に立つと、
「うん。座っていいよ」
嬉しそうな顔で男の足元に座る女。
男、コンビニの袋を開けて、買ってきたペットボトルのお茶を女に渡す。
一口、二口、三口とお茶の飲んで、喉が潤ったところでペットボトルをテーブルの上に戻す女。
「手はどこに置くの?」 と男。
少し考えてから女は両手を男の左右の膝の上に置く。
女の口元に右手の指を這わせる男。
女の唇を割り、口の中へ。
体は固くなり、男の膝の上に置いた手にも力が入る。
「ダメ。力を抜いて、口、開けて」
女の口の中を弄る男の指。
くすぐったさに頭を動かす女。
女の頭を押さえる男の左手。
「我慢して…」
女の口から唾液が滴る。
慌てて手で受けようとする女に、
「そのまま。手は膝の上でしょ」
両手を男の膝の上に戻し、時折、うめき声をあげながらも、ジッとしている女。
ひとしきり女の口の中を楽しんだ後、袋から包帯とハサミを取り出して、
膝の上に置かれた女の両手を見ながら、適当な長さに包帯を切る男。
不安げな顔でそれを見ている女。
切った包帯を女の前に差し出し、
「これ、どうするの?」 と聞く男。
「縛るの…」 と震える声で答える女。
「どこを縛るの?」
「手…」
…そう答えて、両手を揃えて、差し出す女。
かすかに震えている両手首に包帯を巻く男。
「解けたら困るから、きつく縛らなくちゃね」
「うん」
きつく縛られた手首の包帯の結び目と男の顔を交互に見る女の顔は、
少し前の不安げな表情はすっかり消え、にこにこ嬉しそうな表情に変わってる。
「これで自由じゃなくなったね」
「うん」
「嬉しい?」
「うん。嬉しい」
「汚しちゃおうか…」
男、立ち上がり、女の両手を掴んで、女を立たせる。
「おいで」
と女をバスルームに連れて行く。
バスルームの明るさは、薄暗い部屋から入った二人には眩しかった。
男は、バスルーム入り口の通路のライトをつけ、バスルームの電気を消し、
ドアを開けたままにした。
ほのかな明るさの中、
「そのまま、浴槽に入って」 と、女の両手を支える男。
女は命じられるまま、ゆっくりお湯の張られていない浴槽に入る。
これから自分の体に起こることに女は不安と期待で胸を高鳴らせた。
「こっち向いて座って」
両手の自由がきかず座るのもままならない女は、男の手に再び支えられ静かに座った。
「口、開けて」
男の顔を見つめながら、口を開く女。
「ちゃんと口で受け止めるんだよ。飲んじゃダメ。汚すんだから」
口を開けたまま、コクリと頷く女。
女の胸元に金色に輝く温かなものがほとばしる。
温かなものは、胸元から首筋、顎を通って、女の口に注がれた。
必死に口を開けている女。
注がれた温かなものは女の口から溢れ顎、首筋を通り、再び服に染み渡っていく。
温かなものは女の体をゆっくりと包み込んだ後、
浴槽の床から排水溝へとわずかに流れた時、ほとばしりは止んだ。
ほとばしりが止み、少し咽る女。
汗と温かなもので化粧もほとんど取れてしまった女の顔。
シャワーのお湯を出し、
「もう一度、口、開けて」 と男。
今度はシャワーのお湯が女の口に注がれた。
「いっぱい、汚れちゃったね」
「うん。いっぱい汚れた。でも、汚してもらえて嬉しい」
そのまま顔を突き出してキスする女。
シャワーのお湯を止めて、
「ずっとトイレに行ってないでしょう?」
女、男の顔を凝視する。
「このまま、ここでして」
戸惑いながらも、自由のきかない両手を浴槽の淵に置き、体制を変える女。
浴槽の中でしゃがんでる女の濡れたスカートの裾を捲る男。
キスしたまま、少しずつ尿意が迫ってくるのを感じてうつむく女。
「顔、上げて。顔見ながら、するんだよ」
顔をあげることができない女の顎を右手で持ち上げる男。
恥ずかしさで泣きそうな顔になってる女。
微笑みながら黙って頷く男。
女は濡れた体を少し固くした後、ふわっと力が抜け、自分の足元に温かいものを広げ始めた。
「口、開けて」
口を閉じてキスしていた女の口が開いたと同時に、喉の奥まで深く男のものが差し込まれた。
女の体から放たれたものもすっかり排水溝へ流れ、口を塞いでいたものも外された。
「本当に汚れちゃったね。綺麗にしようね」
と、女を立たせて、少し熱めのシャワーを女の頭から浴びせる男。
女は頭のてっぺんから足元までずぶ濡れ。
「足、開いて」
言われたまま足を開く女。
スカートを捲り上げ、シャワーを女の敏感な部分に当てる男。
「あぁ…だめ……」 と声を漏らしてもがく女、その場にしゃがみこむ。
男、シャワーの水圧を強くして、しゃがみこんだ女のその部分にシャワーを当てる。
もがく女の両手を左手で掴み 「もう少し」 と女の耳元に囁く男。
女のもがく姿を楽しんだ後、女を立ち上がらせた。
女のスカートの裾からの水の滴りがわずかになった時、
「おいで。部屋に戻ろう」
「でも、びしょびしょに濡れてる」
「うん。そのままでいい。おいで」
男に連れられ、ずぶ濡れのまま部屋に戻る女。
「寒くない?」
「うん。大丈夫」
ベットの足元の広めの空間に立つ女。
女の足元、絨毯に広がる染み。
着ているものを脱いだ男。
ベットの足元に腰掛け、タバコを吸いながら、ずぶ濡れの女を前から眺めてる。
タバコを吸い終えた男、
「どうしたい?」
女は少し考えて、
「全部にキスしたい」
「いいよ」
その場に傅き、括られた両手で男の右足に触れ、唇を寄せる女。
親指、人差し指、中指、薬指、小指…とゆっくり唇を這わす女。
足の裏、かかと、足の甲、足首と…徐々に唇は上の方へ。
膝まで唇が届くと、両手を左足に。
女は幸せを噛み締めるように、また足の指から唇を這わす。
左足の膝まで唇が届いたとき、思い立ったように、
「服、着替えて、買い物に行こう」 と男。
キョトンとする女。
「でも・・髪の毛、濡れてるから乾かさないと…」
「濡れたままでいい」
両手を括っていた包帯の固くなった結び目を解く男。
女の両手首には薄っすら赤い線。赤い線を包むように女の手首を握る男。
「着替えておいで。下着はダメだよ」
着替えの入った紙袋を手にバスルームで着替える女。
着替えを終えバスルームを出ると、男はジャケットを羽織ってた。
化粧もすっかり落ちて、髪の毛濡れたままの女に靴を履くように促す男。
数時間前に通った通路の照明は少し落とされ、部屋と同じ薄明かり。
濡れた髪の毛を気にしながら歩く女。
そんな女を見ている男。
エレベーターで1階まで下りると、ロビーは来たときのまま、灯りで輝き眩しさを覚えた。
真夜中、フロントにもホテルの従業員は不在。
二人はそのままホテルを出て、街の灯りに向かって歩き出した。
女の左手は、男の右手にしっかり握られている。
人通りは少ないが、それでも、人とすれ違うたびに握られた手に力が入る女。
「コンビニの中、一周してタバコ買って帰ろうね」
黙って頷く女。
白熱灯の灯りで真昼のように明るいコンビニの入り口で、足を止める女。
「どうしても中に入れない?」
答えることができず、男の顔を見上げてすぐにうつむく女。
「タバコ、なくなりそうだから、タバコだけ買ってかえろう」 と男。
「それとも、外で待ってる?」
首を横に振り、男の手をしっかり握る女。
「よし、じゃぁ行こう」
男の後ろに隠れるように店内に入る。
入り口すぐのレジでタバコを買う男。
女は男の後ろでジッと息を潜めてる。
お店を出て、恥ずかしさでうつむいてる女に、
「髪の毛、濡れてるのきっと見られちゃったね」
縋りつくような顔で 「早く、帰ろう」 と女。
「うん。帰ろう」 と笑って女の手をギュッと握り歩き出す男。
帰り道、前を歩く人、後ろを歩く人はいたが、街へ向かう前から来る人とすれ違うことはなかった。
「こんなにいっぱい頑張ったから部屋に戻ったらご褒美あげなきゃ…ね」
「うんっ」
「ご褒美は何がいいの?」
「ずっといっぱいキスしたい」
「うん」
男と少し元気よく歩けるようになった女は再び、ホテルの中へ……
甘い時間を貪りに消えて行った。
二人でふらりと入った居酒屋。
週末とあって、店内は程よく混んでいる。
案内された席は、カウンターの左端の二席。
一番端に座る女と、隣に座る男。
「久しぶりだね」
ビールの入ったグラスと杏子酒の入ったグラスをかたむける。
運ばれてくるお料理を満面の笑みでパクパク食べる女。
そんな女の口元を満足げに眺めてる男。
お腹いっぱい食べ終えたところで、少しの沈黙。
女の右耳に顔を寄せて、そっと語りかける男。
「洗面所で下着、外しておいで」
男の 「大丈夫だよ」 の一言に微笑み、取り戻し立ち上がる女。
「待ってて」
「さぁ、どうかな?いっぱいは待てないかも」
「もう…」
強気の笑みで恨めしそうに見て歩き出そうとする女に、
「待って」 男、再び女に耳打ち。
「個室には入っていいけど、下着を外すだけだからね」
一瞬、何のことかわからない女。でも、すぐに理解して、黙って頷いて洗面所に向かう。
戸惑いながらも急いで下着を外して、洗面所を出る女。
カウンター席の奥に男の姿を確認して、早く傍に行こうとするが、
スカートの裾も胸元も気になってぎこちなく歩き席へ戻る。
カウンターは皿が片付けられ、半分以上残ってる杏子酒とライチのシャーベット。
男の前には、なみなみとビールの注がれたグラス。
何事もなかったように振る舞う男。
つられて女は、ライチのシャーベット、喜びながら食べ終える。
男のグラスのビールも残り少ない。
「そろそろ出ようか…」
伝票を手にする男
席を立ち上がった女、洗面所を出た時の戸惑いと恥ずかしさが再び湧いてくる。
男と女は夜の街を歩き出す……
店を出ると、夜風が好い感じでなびいていた。
女の頬をかすめる夜風は、足元にも吹いていた。
前から向かってくる人の視線が気になり、下着を外した胸元を隠すように、
女は俯いて、男の横を歩いた。
俯いて歩く女に、
「ちゃんと背筋伸ばして、前向いて歩かなくちゃね」
男は、女の少し困った顔を楽しみながら見てる。
女は背筋をピンと伸ばし、前を見て歩くがまたすぐに顔を俯き加減に…
「ほら、また顔が下を向いてるよ」
「だって……」
言ったきり言葉が続かない女。
男の右手は、心細げな声を出す女の左手を掴んだ。
女の曇った顔は瞬間に笑みが広がった。
「だって…なに?」
「だってね、スカートの裾も胸も気になるの…」
女ははにかみながら、答えた。
「気になっても下向いちゃダメ。お散歩、楽しむんでしょ」
掴まれた左手を握り返し、大きく頷く女。
人通りの少なくなった通り。シャッターの下りた店の前。
「確認しなくちゃ…ね」
シャッターを背に立った女の胸に服の上からそっと触れる男。
体を固くしてうつむく女。
「顔、上げて。ちゃんと見てなくちゃ」
女の胸の突起を摘む男の指。
だんだん固くなっていく突起。
「これじゃぁ、やらしい女だってこと人にわかっちゃうね」
意地悪を言う男。
いやいやとがぶりを振る女。
男の手は、女の脇から腰、尻と徐々に撫で下ろしスカートをたくし上げた。
女の尻を優しく撫で、
「こっちもちゃんと言う通りにしてるね」
囁きながら、右手は前の方へ…
「足、開いて」
「ダメ。手が汚れちゃう」
「いいから、開いて」
言葉に逆らえず、足を開く女。
指は茂みをまさぐり、奥の方へ……
一番敏感な部分に指が触れた瞬間、
「あっ…」 と声を漏らす女。
「声、出したら人に聴かれちゃうよ」
唇をきゅっと噛み締め堪える女。
指は更に奥へ……
女の蜜口を確かめて、スッと手を離す男。
「濡れてたよ…」
慌てて男の右手を掴まえて汚れた指先を舐め取る女。
「綺麗になった?」
にこにこ顔でコクリと頷く女。
コンビニで買い物する男と女。
なにやら物色している男。
レジに差し出したものは、飲み物と包帯とハサミ。
二人、顔を合わせてクスリと笑う。
「今宵、貴女の宿は?」
「貴方の足元」
街外れのホテルへ消えていく男と女。
ホテルに入ると、夜も遅いせいか、ロビーには誰もいなかった。
エレベーターの前で待ってるように女に伝えると、男はフロントへキーを取りに向かった。
女はエレベーターの前に立ち、グルリと周りを見渡した。
建ってまだ数年の比較的新しいホテルで、内装もかなり凝っている。
エレベーターの階数表示を探すが、見当たらない。
そうこうしているうちに、男がエレベーターの前まで来た。
エレベーターのボタンを押すと、すぐ前のドアが開いた。
男に背中を軽く押され、中に乗り込む。男は「15」のボタンを押す。
ドアが閉まり、静かにエレベーターは上昇し始めた。
女の左手を握り、女がバックと一緒に持ってきた紙袋を見ながら、
「着替え、持ってきた?」
男の手を少し強く握り返して頷く女。
ポーンと柔らかな音と同時にエレベーターのドアが開いた。
エレベーターを下りて右に曲がると、左右に通路が長く広がってた。
更に右に曲がり、男は1524号室の前で足を止め、ノブにキーを差し込んだ。
部屋のドアが開けられ、手招きされて中に一歩、二歩と入る女。
部屋は奥の方のライトがついているのか、薄っすら明るかった。
ドアのオートロックのカチャという小さな音とともに、男は女を後ろから抱きすくめた。
男の左手の甲に、空いている左手を重ねて、
「会いたかった。やっと会えた」
「酷いことされるかもしれないのに・・?」
「うん」
女を自分の方へ向きなおさせる男。
「ちゃんと顔、見せて」
はにかみながら顔を上げる女。
「いっぱい汚しちゃうよ。いいの?」
「うん」
「『うん』だけ?」
顔を左右に振る女。
「どうしたの?なに?」
消えそうな小さな声で 「いっぱい汚して下さい…」 と答える女。
「うん」 と頷いて、再び女を抱き締める男。
部屋の奥へ導かれ、バックと紙袋、コンビニで買ってきたものを置く女。
着ていたジャケットからタバコと携帯を取り出し、ジャケットをクローゼットに仕舞う男。
セミダブルのベットが二つのツインルーム。
窓際には二つソファとテーブル。
「喉、乾いちゃったね」
コンビニの袋を持ってきて、テーブルの上に置き、ソファに座る男。
「うんうん」 と言いながら、女もソファに座ると、
「そこが居場所?こっちにおいで」
と小さく手招き。
ソファの向きを少しずらす男。
女が男の前に立つと、
「うん。座っていいよ」
嬉しそうな顔で男の足元に座る女。
男、コンビニの袋を開けて、買ってきたペットボトルのお茶を女に渡す。
一口、二口、三口とお茶の飲んで、喉が潤ったところでペットボトルをテーブルの上に戻す女。
「手はどこに置くの?」 と男。
少し考えてから女は両手を男の左右の膝の上に置く。
女の口元に右手の指を這わせる男。
女の唇を割り、口の中へ。
体は固くなり、男の膝の上に置いた手にも力が入る。
「ダメ。力を抜いて、口、開けて」
女の口の中を弄る男の指。
くすぐったさに頭を動かす女。
女の頭を押さえる男の左手。
「我慢して…」
女の口から唾液が滴る。
慌てて手で受けようとする女に、
「そのまま。手は膝の上でしょ」
両手を男の膝の上に戻し、時折、うめき声をあげながらも、ジッとしている女。
ひとしきり女の口の中を楽しんだ後、袋から包帯とハサミを取り出して、
膝の上に置かれた女の両手を見ながら、適当な長さに包帯を切る男。
不安げな顔でそれを見ている女。
切った包帯を女の前に差し出し、
「これ、どうするの?」 と聞く男。
「縛るの…」 と震える声で答える女。
「どこを縛るの?」
「手…」
…そう答えて、両手を揃えて、差し出す女。
かすかに震えている両手首に包帯を巻く男。
「解けたら困るから、きつく縛らなくちゃね」
「うん」
きつく縛られた手首の包帯の結び目と男の顔を交互に見る女の顔は、
少し前の不安げな表情はすっかり消え、にこにこ嬉しそうな表情に変わってる。
「これで自由じゃなくなったね」
「うん」
「嬉しい?」
「うん。嬉しい」
「汚しちゃおうか…」
男、立ち上がり、女の両手を掴んで、女を立たせる。
「おいで」
と女をバスルームに連れて行く。
バスルームの明るさは、薄暗い部屋から入った二人には眩しかった。
男は、バスルーム入り口の通路のライトをつけ、バスルームの電気を消し、
ドアを開けたままにした。
ほのかな明るさの中、
「そのまま、浴槽に入って」 と、女の両手を支える男。
女は命じられるまま、ゆっくりお湯の張られていない浴槽に入る。
これから自分の体に起こることに女は不安と期待で胸を高鳴らせた。
「こっち向いて座って」
両手の自由がきかず座るのもままならない女は、男の手に再び支えられ静かに座った。
「口、開けて」
男の顔を見つめながら、口を開く女。
「ちゃんと口で受け止めるんだよ。飲んじゃダメ。汚すんだから」
口を開けたまま、コクリと頷く女。
女の胸元に金色に輝く温かなものがほとばしる。
温かなものは、胸元から首筋、顎を通って、女の口に注がれた。
必死に口を開けている女。
注がれた温かなものは女の口から溢れ顎、首筋を通り、再び服に染み渡っていく。
温かなものは女の体をゆっくりと包み込んだ後、
浴槽の床から排水溝へとわずかに流れた時、ほとばしりは止んだ。
ほとばしりが止み、少し咽る女。
汗と温かなもので化粧もほとんど取れてしまった女の顔。
シャワーのお湯を出し、
「もう一度、口、開けて」 と男。
今度はシャワーのお湯が女の口に注がれた。
「いっぱい、汚れちゃったね」
「うん。いっぱい汚れた。でも、汚してもらえて嬉しい」
そのまま顔を突き出してキスする女。
シャワーのお湯を止めて、
「ずっとトイレに行ってないでしょう?」
女、男の顔を凝視する。
「このまま、ここでして」
戸惑いながらも、自由のきかない両手を浴槽の淵に置き、体制を変える女。
浴槽の中でしゃがんでる女の濡れたスカートの裾を捲る男。
キスしたまま、少しずつ尿意が迫ってくるのを感じてうつむく女。
「顔、上げて。顔見ながら、するんだよ」
顔をあげることができない女の顎を右手で持ち上げる男。
恥ずかしさで泣きそうな顔になってる女。
微笑みながら黙って頷く男。
女は濡れた体を少し固くした後、ふわっと力が抜け、自分の足元に温かいものを広げ始めた。
「口、開けて」
口を閉じてキスしていた女の口が開いたと同時に、喉の奥まで深く男のものが差し込まれた。
女の体から放たれたものもすっかり排水溝へ流れ、口を塞いでいたものも外された。
「本当に汚れちゃったね。綺麗にしようね」
と、女を立たせて、少し熱めのシャワーを女の頭から浴びせる男。
女は頭のてっぺんから足元までずぶ濡れ。
「足、開いて」
言われたまま足を開く女。
スカートを捲り上げ、シャワーを女の敏感な部分に当てる男。
「あぁ…だめ……」 と声を漏らしてもがく女、その場にしゃがみこむ。
男、シャワーの水圧を強くして、しゃがみこんだ女のその部分にシャワーを当てる。
もがく女の両手を左手で掴み 「もう少し」 と女の耳元に囁く男。
女のもがく姿を楽しんだ後、女を立ち上がらせた。
女のスカートの裾からの水の滴りがわずかになった時、
「おいで。部屋に戻ろう」
「でも、びしょびしょに濡れてる」
「うん。そのままでいい。おいで」
男に連れられ、ずぶ濡れのまま部屋に戻る女。
「寒くない?」
「うん。大丈夫」
ベットの足元の広めの空間に立つ女。
女の足元、絨毯に広がる染み。
着ているものを脱いだ男。
ベットの足元に腰掛け、タバコを吸いながら、ずぶ濡れの女を前から眺めてる。
タバコを吸い終えた男、
「どうしたい?」
女は少し考えて、
「全部にキスしたい」
「いいよ」
その場に傅き、括られた両手で男の右足に触れ、唇を寄せる女。
親指、人差し指、中指、薬指、小指…とゆっくり唇を這わす女。
足の裏、かかと、足の甲、足首と…徐々に唇は上の方へ。
膝まで唇が届くと、両手を左足に。
女は幸せを噛み締めるように、また足の指から唇を這わす。
左足の膝まで唇が届いたとき、思い立ったように、
「服、着替えて、買い物に行こう」 と男。
キョトンとする女。
「でも・・髪の毛、濡れてるから乾かさないと…」
「濡れたままでいい」
両手を括っていた包帯の固くなった結び目を解く男。
女の両手首には薄っすら赤い線。赤い線を包むように女の手首を握る男。
「着替えておいで。下着はダメだよ」
着替えの入った紙袋を手にバスルームで着替える女。
着替えを終えバスルームを出ると、男はジャケットを羽織ってた。
化粧もすっかり落ちて、髪の毛濡れたままの女に靴を履くように促す男。
数時間前に通った通路の照明は少し落とされ、部屋と同じ薄明かり。
濡れた髪の毛を気にしながら歩く女。
そんな女を見ている男。
エレベーターで1階まで下りると、ロビーは来たときのまま、灯りで輝き眩しさを覚えた。
真夜中、フロントにもホテルの従業員は不在。
二人はそのままホテルを出て、街の灯りに向かって歩き出した。
女の左手は、男の右手にしっかり握られている。
人通りは少ないが、それでも、人とすれ違うたびに握られた手に力が入る女。
「コンビニの中、一周してタバコ買って帰ろうね」
黙って頷く女。
白熱灯の灯りで真昼のように明るいコンビニの入り口で、足を止める女。
「どうしても中に入れない?」
答えることができず、男の顔を見上げてすぐにうつむく女。
「タバコ、なくなりそうだから、タバコだけ買ってかえろう」 と男。
「それとも、外で待ってる?」
首を横に振り、男の手をしっかり握る女。
「よし、じゃぁ行こう」
男の後ろに隠れるように店内に入る。
入り口すぐのレジでタバコを買う男。
女は男の後ろでジッと息を潜めてる。
お店を出て、恥ずかしさでうつむいてる女に、
「髪の毛、濡れてるのきっと見られちゃったね」
縋りつくような顔で 「早く、帰ろう」 と女。
「うん。帰ろう」 と笑って女の手をギュッと握り歩き出す男。
帰り道、前を歩く人、後ろを歩く人はいたが、街へ向かう前から来る人とすれ違うことはなかった。
「こんなにいっぱい頑張ったから部屋に戻ったらご褒美あげなきゃ…ね」
「うんっ」
「ご褒美は何がいいの?」
「ずっといっぱいキスしたい」
「うん」
男と少し元気よく歩けるようになった女は再び、ホテルの中へ……
甘い時間を貪りに消えて行った。
The end.
イヤリング:01
黒い服を着た女の両手首には黒革の手枷がしっかりと嵌められていた。
天井の梁から数本の鎖が垂れていた。そのうちの一本の鎖に手枷が繋がれ、女は両手を持ち上げられた格好で部屋の中央に立たされていた。
男の右手が少し汗ばんだ女の細い首筋に伸び、女の顔を引き寄せる。
女の目をしっかり見据え、男は静かに口を開いた。
「キミはボクにウソをついた」
女は男の視線を外すことも出来ず、両耳に下げられているプラチナのイヤリングをかすかに震わせていた。
女はウソなどついたつもりはなかった。ただ…言わなかっただけのこと。
「ウソはいけない…と子どもの時に言われなかったかい?」
「ウソを吐いたわけじゃないわ。言わなかっただけ…」
「それはボクに隠し事をした…ということだよ」
「言う必要がないと思ったの…」
「ボクとキミが出会った時、隠し事はしない…と約束したよね?」
「隠したつもりはないわ…」
「つもりはなくても…ね。それに、必要があるかないかはボクが決めることでしょ?」
「………」
男の言うことに反論していた女も返す言葉がなくなり、それきり黙ってしまった。
「とにかくキミはボクに対していけないことをしたことには違いない」
「キミはボクに従うしかないんだよ、いいね」
女はこれから自分の身に起こることを予感していた。
To be continued.
イヤリング:02
男は天井から降ろされた鎖によって持ち上げられている女の両手首の手枷を外した。
長い時間、上げ続けていた所為だろうか、女の白い腕は一層白さを増し、血管が蒼く浮き出ていた。
女は真紅のマニキュアを丁寧に施した指先にわずかな痺れを感じていた。
「お願い、この間のような酷いことはしないで…」
「さぁ、ブラウスを脱いで」
男は心細く身体を震わせている女の言うことを聞き入れる様子もない。
女はそれでもなお口唇を震わせ、男に懇願した。
「本当に怖いことはイヤなの。お願いだから怖いことはやめて」
「キミはボクに従うしかないんだよ。大丈夫、殺しはしない」
「……」
「いつまでそうやって駄々をこねているの?ボクはブラウスを脱いでと言ったよ」
「酷いことする貴方は好きじゃない。酷いことしないと約束して。そうしたら脱ぐわ」
男は無言のまま、女の胸元に両手を伸ばし、ブラウスの襟元を掴んだ。
…と同時に、ブラウスを力いっぱい引き開いた。
黒いボタンが床に落ち、カラカラと音を立てて転がった。
声を上げる間もなかったその一瞬の出来事に女は茫然とした。
男は女の手首を握り締め、ゆっくりとした口調で諭すように話し始めた。
「キミが怖いと思う気持ちはわかる。この前も怖かったというのは本当なんだろう」
俯いた女の目から大粒の涙が毀れた。涙の雫は女の手首を握っている男の手の甲にポツリと落ちた。
男は女の手首を握ったまま、自分の口元へ手を持っていき、涙の雫を舐め取った。
「あっ…」と口を開き戸惑う女に構わず男は話しを続けた。
「怖かったと言いながらも…今もこうしてボクの前にキミは居る。キミは恐怖の裏に恐怖とは真逆な感覚も得たのだと思うよ」
「…違うわ。そんなことない」
「どうして?本当に怖いだけでイヤで辛いだけだったのなら、キミは今日までの間にボクから逃げることもできたでしょう?」
「それは……」
「それは…何?ボクのことを好きだから?愛しているから?」
「そうよ。貴方が好きだから…別れたくないから…」
「キミは優しいボクだけが好きなの?ボクはキミの全てが好きだよ。キミの悪いところも含めて愛しいと思っている」
男は自分の言葉を一つ、一つ呑み込むように聞き入っている女にそっと接吻した。
「こうしてキミに優しく接吻けるのもボクなら、キミの手に枷を嵌め、キミの身体を強く打つのもボクなんだ」
女は少しだけ考えて…考えた振りだったのかもしれないが、コクリと頷き…
「貴方の気持ち、わかったわ…」
「わかった…というのは、ボクの全てを受け入れてくれると理解していいのかな?」
「ええ…そうよ」
「ありがとう。嬉しいよ、とっても…」
女はふと…床に落ちたブラウスの黒いボタンに目をやった。女の視線の先を男の視線も追った。
「ボクは決してキミを壊すことはしない。キミの肉体に痛みや苦しみを与え、痕を残すことをしても、絶対にキミの心を傷つけることはしない。それだけは、約束する」
男は女の目を真っ直ぐ見つめ、誓った。
To be continued.
イヤリング:03
男の手は女の手首から離れ、床に転がった女のブラウスのボタンを拾い集めた。
戸惑いと恐怖が薄れ、落ち着きを取り戻した女はブラウスのボタンが千切れ落ち開けた胸元に気付き、急に恥ずかしさが込み上げてきた。
慌てて自由になった両手で開けたブラウスの前を合わせた。
拾い集めたボタンを女に渡す男。右手を差し出しボタンを受け取る女。
「どうして隠すの?脱いで。ボクに従うのでしょう?」
男が誓った言葉を思い出し、女は男に背を向け、ブラウスをそっと脱ぎ、男の方へ身体を向け直した。
満足気な顔で女を見つめる男。
女は思い出したように自分の膝の上で右手を開き、ブラウスから千切られたボタンに糸がだらしなく絡まっているのを見つめている。
男の視線を感じ、スカートのポケットにボタンを押し込む女。
不意に女を強く抱き締めたい衝動にかられ、女の身体を捉える男。
「ボクに隠し事した罰が済んでない…」
男のその一言で女の身体が硬直した。男は身体を硬くした女をいつまでも抱いていたいと思った。
が、男は腕に力を込めて女をさらに強く抱き締めたかと思うと、すぐに女の身体に回していた両腕を解き、立ち上がった。
「さぁ、立って」
不安げな目で男を見上げる女。穏やかな顔で女に左手を差し伸べる男。
女はおずおずと男の差し伸べた左手に右手を差し出した。
男は女の右手を軽く握り、手を持ち上げた。
すくっと立ち上がった女は、黒のブラジャーとフレアスカートという中途半端な自分の格好にブラウスの前が開けてた時以上の恥ずかしさを感じた。
そんな女の心を読み透かしながらも、男は頭上に下がっている鎖から手枷を外した。
手枷は黒い革製のもので、二つの枷が銀色のフックで繋げられていた。
「両手、前に出して」
言われるまま、両手を前に出した女は、既に男の視線に抗うことが出来なくなっていた。
To be continued.
イヤリング:04
枷の一つを女の左手首に嵌め金具で留める男。それをじっと見ている女。
かっちりとした黒い革の枷は、見た目とは裏腹に柔らかい革で出来ており、女の細い手首に吸い付くようにフィットした。
この枷が女の手首に嵌められるのは初めてではない。3週間前、この別荘で女が打たれた時もこの枷が女の手を固定した。少し前までもこの枷が長時間、女の手首を持ち上げていた。
しかし、女は今、初めて枷を嵌められた感触を味わったかのようだった。
金具ともう一つ繋がった枷のためか、女は左手に重みを感じた。
その重みを心地良いと感じてもいた。その心地良さが何であるのか、女にはまだわからなかった。
男は続いて、女の左手首の枷からだらりとぶら下がっているもう一つの枷を女の右手首に同じように嵌めた。
フックで繋げられている二つの手枷が両手首に嵌められ不自由になった両手を肌の感触と目で確認した女は不思議な安堵に包まれた。
「…どう?また怖くなったかい?」
「ううん。全く怖くないかと言ったら嘘になるけれど、さっきまでのような怖さはないわ」
「じゃぁ、手を上げて」
女はそろそろと不自由な両手を上げ始めた。両手が女の頭のすぐ上まで上がったところで、二つの手枷を繋げている金具のフックがカシャと音を立てた。それは小さな音だったが、女の耳には大きく響き女は動きを止めた。
困ったような顔付きをしている女に男は、
「大丈夫。ほら、まだだよ。もう少し上げて」
女は躊躇いながらも男に従い再び手を上げ始め女の肘は真っ直ぐ伸びた。
男は頭上の梁から降りている先ほどの一本の鎖を捉え、女の両手首の枷のフックと鎖のフックとを繋げた。
女の両足は床にベッタリついてはいたが、両腕をピンと伸ばした体勢で固定されたため、背伸びをさせられたように感じた。
いよいよ自分の身体を動かせなくなり、女は左手に枷を嵌められた時の重みの心地良さが更に増していることを実感した。
心地良さと安堵は、男の手によって自由を奪われることで得られるのだと、女は理解した。
「そうして繋がれている姿が、キミの一番綺麗な姿だということを、キミ自身はまだわかっていないのだろうね…」
男は自由の利かなくなった女の姿を堪能しながら、室内入り口左側にあるクローゼットからナイフと鞭を取り出した。
女の真正面の窓から、女の身体を照らすように西日が射していた。
To be continued.
イヤリング:05
男は左手に鞭、右手にナイフを持ち女の前に立った。男の右手のナイフを見た女は身体を切りつけられると思い、ぎょっとした顔になった。
黒い下着が女の白い柔肌をより際立たせていた。
男は女の目の前にナイフを出し左手で女が未だ身に着けている黒いブラジャーの右の肩紐をぐっと掴み、ナイフで一思いに切った。
「今日からキミには不要なモノだよ」
男は語気を少し強めてそう言い、続けて左の肩紐も断ち切った。
ナイフの刃が自分の肌に刺さると思い込んでいた女は頭の中がぼぅっとしていたが、男の「不要なモノだ」という言葉だけが繰り返し響いていた。
男の左手人差し指と中指がブラジャーの真ん中下部に滑り込むように入り、ぐぃと前に引いた。その力で女の身体がいささか前に蹌踉けた。
「動かないで。真っ直ぐ立って」
女は背筋をピンと伸ばし、真っ直ぐ立ち直した。
指先に力を入れ、女が身体を動かさないようにやや力を入れて立ち直したことを確かめた男は、女の肌とブラジャーの隙間にナイフを差し込み、ぐぐぐとブラジャーを裁った。
女の形良いたわわな乳房が艶めかしく揺らいだ。
男は部屋の隅にあるゴミ箱に女の身体から切り取ったブラジャーを捨て、横のチェストの上にナイフを置いた。
女は、まるでそうするのが当たり前のことのように下着がゴミ箱に投げ入れられる様を眺めていた。
男は鞭を右手に持ち替え、女の傍に戻ってきた。
「驚いた顔をしてる。身体を切られるとでも思ったの?」
女はコクリと頷いた。男は女の頬に手を添え、
「バカだな。キミの肌に無駄な創をつけるつもりはないよ」
苦笑いしながら話す男に女は安心したのも束の間、男が右手に持ち替えた鞭に今更ながら気付き、全身からじんわりと汗が滲み出た。
それは恐怖なのか不安なのか、それとも期待なのかより深い安堵なのか、そのどれもが入り混じったものなのか女に考える余裕はすでになくなっていた。
女にわかるのは「これから男に打たれる」…ということだけだった。
男は女に接吻しながら、左手を女の頬から首筋、胸元へと這わせていき、右の乳房を鷲掴みにした。
形の整った乳房が歪み、男の口で口唇を塞がれている女がぐもった声で呻いた。
男の左手は女の乳首を弄ぶように指先で転がし始めた。女の呻き声はいつしか喘ぎ声へと変わり、貪りつくように男の口唇を求めていた。
女が下腹部に熱いものの広がりを感じたその時、男は動きを止め、女から身体を離した。
「キミはボクのモノだ」
男の愛撫により全ての神経が敏感になった女の耳に突き刺すように男は囁き、女の背後へと回った。
男の姿が視界から外れ、急に心細くなった女の身体はわずかに震えていた。
女の心許無い細い背中を見、一呼吸置いて男は右手を上げ鞭を女の背中に振り落とした。
To be continued.
イヤリング:06
女の身体は撓り、肌を裂き斬られるような痛みに悲鳴をあげた。
「声、出さないで」
男の放った言葉に女は首を前に垂れるだけだった。女の耳に飾られているプラチナのイヤリングが差し込む西日に照らされ金色に輝きふらふらと揺れていた。
男は絶え間なく続けて女の背中を打ち始めた。鞭の先が背中に当たる度、女は身体を撓らせ悲鳴をあげ続けた。
女の身体が撓ると女の手首に嵌められている手枷の金具と鎖がガチャリと音を立てた。その音は男が許すまで逃れることのできない証の音として女の耳に届いていた。
裂き斬られるような痛みと焼けるような熱さに女の瞳から涙が溢れ、噎び泣いていた。
それでも女は両手をそれぞれにぎゅぅと力いっぱい握り締め背筋を伸ばし真っ直ぐに立とうとしていた。
女の悲鳴に構うことなく打ち続ける男。女の白い背中が紅く染まっていく。
男の手が止まった。わずかに10分程しか時間は過ぎてはいなかったが、女には1時間にも2時間にも感じられた時間だった。
男は嗚咽をあげている女のスカートの中に手を入れ、両太股の間に指を割り込ませた。女のソノ部分は熱く湿っていた。男は中腰になり一気に下着を女の足元まで引き摺り下ろした。
女の下着に手を掛けている男は、汗と涙とで化粧が殆ど剥げ落ち項垂れている女の顔を下から見上げ、
「コレも今日からキミには必要ないモノだよ。ほら、足を上げて」
男に従い、女はまず右足を床から離した。男は女の右足から下着を外し、左足首に掛かっている女の下着を心持ち引っ張り、左足も上げるように合図した。深く息を吸い込んだ女が左足を上げると、男は剥ぐようにして下着を取った。
下着を片手に立ち上がった男は項垂れている女に顔を上げ、口を開けるように命じた。
泣き顔を見られることに羞恥心があるのか、なかなか首を持ち上げられないでいる女に焦れた男は、女の前髪を掴み顔を上に向かせた。
「口、開けて」
女は口唇を震わせながらゆっくりと口を開いた。男は口をぽっかりと開いた女の口に今、女から脱がせたばかりの下着を無理矢理詰め込んだ。女は「何故?」と縋り付くように男を見上げた。
「声、出さないでと言ったのに、キミが悲鳴をあげ続けるからだよ。これで終わったわけじゃない。ボクはまだ許していない」
口を塞がれた女はまだ終わっていない罰に慄き「うぅ…」と声を漏らし大きく頭(かぶり)を振った。金色に輝いているプラチナのイヤリングも大きく揺れていた。
To be continued.
イヤリング:07
「コレをココに下げておくのはもったいない」
男は女の耳から黄金色に揺れ輝いているプラチナのイヤリングを毟り取った。
男が手にしたイヤリングはネジ留め式でドロップタイプのものだった。
口を塞がれている女は、「どうするの?」と聞くにも聞けず不安を目で訴えるしかなかった。
女の不安気な表情に構うことなく、男は女の乳房から乳首にかけて円を描くように指でなぞった。
女は背中が焼けそうに熱くなるまで鞭を打たれたことで、全身の神経が過敏になっていた。男の爪先が乳輪に立てられ強くなぞると、女は快感に身体を捩らせ、触れられてもいない乳首を尖らせ始めた。
男は右手の親指と人差し指で女の左乳首を力一杯摘まんだ。硬く尖った乳首を潰された女の身体は更に捩れ、顔は苦痛に歪み、声にならない声で唸り声をあげた。
男は指の力を抜き、乳首の先端を人差し指で撫でた。するとすぐさま女の苦痛に歪んだ表情が緩み次第に恍惚の表情へと変わった。女が恍惚の票所を見せると、男はまた潰すように乳首を摘まんだ。乳首を力一杯潰したり、撫でたりを数度繰り返すうちに女は苦痛の表情を見せなくなり、うつろな目で身体をくねらせていた。
女の反応を暫し確かめた男は、左の乳首に女の耳から毟り取ったイヤリングを一つ、着け始めた。イヤリングの留め金のネジをゆっくり締め上げていった。
「キミの乳首は本当に良い反応をしてくれるよ。苦痛ばかりじゃ可哀想だからね。ボクの指の代わりにちょうど良いだろう?こっちにも着けてあげないとね」
そう言って、男は女の左乳首と同じように右の乳首を摘まみあげ強く扱いたり潰したり、撫でてみたりした後、男の手に残る一つのイヤリングを着けた。
女は執拗に責められた乳首の反応に自分の意識ではどうにもできないことを感じとっていた。男の指先一つに操られる身体であるということを自覚し始めていた。
左右の乳首にイヤリングを着けた女の身体をより熱さを増した西日が照らしていた。
To be continued.
イヤリング:08
揺れる場所を耳から乳房へと移したイヤリングが女の思考を停止させている。ジンジンと焼ける熱さの残る背中がかろうじて意識を取り戻させていた。
「陽が沈むまで。あと10分くらいだろう……」
男は女にそう囁き、再び女の背後へと回った。女の頭の中は「陽が沈むまで」という男の声だけが繰り返すばかりだった。それでも女は先ほどまでと同じように背筋をピンと伸ばし、男の鞭を受け入れるかのように立っていた。
男はこれまで以上の強さで鞭を打ち始めた。その痛みに悲鳴をあげようにも口を塞がれている女は首を左右に振り乱すことでしか男に痛みを伝えるほかなかったが、男が「陽が沈むまで」と言った以上、何をどう伝えても聞き入れられないことも頭のどこかでわかっていた。女はこのまま永遠に太陽が沈むことがないような感覚に陥っていた。
やがて女は出せない悲鳴を出そうとする力も首を振り乱す力もなくなり、全身の力が抜け背筋を伸ばすことも出来なくなっていった。頭上で力いっぱいに握り締められていた両手は力なくだらりと垂れ下がり、身体は梁から下げられた鎖と手枷によって支えられていた。鞭の先が女の背中に当たる度にぐらりと女の体が揺れるだけになった。
女の乳房の上で揺れているプラチナのイヤリングがキリリとした輝きを放っているだけだった。
女の意識が遠のき始めた時、鞭の音が止んだ。窓の外…太陽が沈み、空が夕焼けで真っ赤に燃えていた。
「終わったよ。キミへの罰は終わった」
男は女の頬に手を添え、女の口を塞いでいた下着を取った。首を持ち上げることも出来なくなっている女は、ゆっくり目を開き男を見上げ、頷くように目を閉じた。
男は咄嗟に女を抱き締め、口唇を求めた。
チャリン……
女の左の乳首からイヤリングが外れ床に落ちた。
To be continued.
イヤリング:09
男は女の身体を左腕で支えるように抱きかかえ、右手を上に伸ばし鎖と手枷を繋いでいるフックを外した。
女は吊り上げられていた両腕をそろそろと静かに下ろした。肩に体重がかかっていたためか、女は両腕が自分の身体ではないように感じた。
二人はその場にへたり込み、男は女の手枷を外そうと女の右手首のベルトに手を掛けた。
「…外さないで」
「どうして?」
「ワタシはアナタのモノだから…」
「そうだね。キミはボクのモノだ」
所在なげに床に転がっているイヤリング。男は拾い上げ、女の顔の前でゆらゆらと揺らしてみた。
「コレ、素敵だね。キミの胸を飾るのにピッタリだ」
「高かったのよ…ソレ」
「東京に戻ったら、24時間ずっと着けていられるように留め具のところを変えよう」
「イヤリングが一つ、減ってしまうわ」
「耳にはピアスをすればいい。もっと素敵なのをボクが着けてあげるよ」
いつしか男の表情はいつもの穏やかなものへと戻っていた。
「キミはボクのモノだ」
男は再びそう言い、女に接吻した。
The end.